1.5 なぜ腕時計なのか

登場から8年を経て、iPhoneはテクノロジーではなく、生活の一部になってきました。そして見えてきた各種の問題を解決する手段として、新しいデバイスが普及する舞台ができあがってきたと言えます。

常に降り注ぐような情報を短時間でハンドリングし、家族や友人とのリアルな時間を大切にする。情報をリッチにするのではなく、生活を豊かにする。

そのためには、「長時間、見続けるものではない」という腕時計の習慣を巧みに利用して「情報のアイコン化」を進めるのが得策です。スマートフォンを取り出すという行為は、作業中に電話がかかってきたことと同じで、現在進行中の作業や会話や思考の流れを分断することになります。

またGoogleグラスのようなメガネ型では常に情報と向き合うことになってしまい、スマートフォンの二の舞です。軽快でシンプルに用事を済ませるには、やはり腕時計が最適なインターフェイスなのです。

アップルのヒューマンインターフェイスグループのアラン・ダイは「歴史的に見て意味があり、より自然で妥当な場所は手首だった」とインタビューに答えています。なぜ懐中時計ではなく腕時計が世の中に普及しているのか、「腕は一等地」という言葉があるように、肌身離さず持ち歩くモノを身に付けるのに腕は最適な場所です。

フトコロから取り出さなくて良い利便性と限られた表示スペースは、相手とコミュニケーションする際の軽快さにもつながっていきます。自分のカラダの一部を触っているような感覚は、iPhoneより快適なものに感じるでしょう。

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